「得られたはずのものを得られなかったらそれは0じゃなくてマイナス」理論

 小林剛、通称こばごうと呼ばれているプロの雀士の方がいるのですが、彼の麻雀スタイルは独特で、「安く、早くあがる」をモットーとしてるんです。麻雀というゲームは牌を取って捨ててを繰り返し、“役”というものを作るのですが、簡単に作れちゃう役だと上がった時の点数は低く、難しい役なら多くの点数が貰えるというルールなんですね。もちろん点数の高い役を誰よりも早く作ってあがれれば良いのですが、そう上手くいかないことも多いのです。そんな中小林剛が「安く、早く」あがるプレイスタイルを貫いているのは何故なのか。彼は著者でこう語っています。

「早さを突き詰めて1000点であがるのを勿体無いと感じる人も多いかもしれない。でも自分が先にあがるということは他の人が高くあがるチャンスを潰しているとも言える。つまりこの1000点には1000点以上の価値があるのです。」

 なるほど確かに、と非常に納得したわけです。

 そして数日後、私ある方の記事を見て目が覚めました。
 その方は早稲田大学国際教養学部の3年生で、つい先月1年間の中国留学から帰ってきたばかりの女性でした。彼女は早稲田のDD(ダブルディグリー)プログラムでアジアトップクラスを誇る北京大学へ国際情勢などを学びに留学したようでした。ダブルディグリーは、1年間向こうで勉強し、然るべき単位を取得すればその大学の卒業を認定されるというシステムで、非常に難易度が高く一握りの学生しか選ばれることがありません。
 驚いたのは彼女の北京大学での勉強量。恐ろしいほどの知識を第3外国語で吸収し、成長していく姿がそこには刻まれていました。中東の政治情勢、東南アジアのニュース、マルクス主義、模擬国連...世界各国の国際関係を洗いざらい学んでいるようでした。

 いや、すげぇなと。


 絶対私にはできないわ〜レベル高いなーひえぇ...と恐れおののいたのですが、

 ん?でも待てよ、本当にできないのか?


 とも思ったのです。彼女と同じ大学にいて同じチャンスがあって、大学から中国語を勉強して、幸いにも経済的にも恵まれている。
 そう、できないじゃなくてやらなかっただけなんですよね。彼女が必死に中国語を勉強している間に自分はTwitterをし、彼女が面接の対策をしている間に私はゲームしていただけなんですよ。
 似たような環境と機会が与えられていたのに自分は知らない間にやらないことを選んでいたのです。

 そしてこれってつまり、小林剛に言わせると、
  誰かに先にあがられてチャンスが消えてしまった訳ではなく、自分で勝手にチャンスを潰してしまっている哀れな状況。 配牌もよく、ツモも良かったのに何も考えず成り行きに任せていた。その結果どこか遠い卓で倍満をツモっている人がいる一方、なんの役も出来ないままゲームを終えている。
 自分の位置づけはそういうことになると思うんです。

 何かを得たらプラスで何かを失ったらマイナス。
 じゃあ得られたはずのものを得られなかったら?
 プラスマイナス0とは思えなくなってしまった私なのでした。


みねらるのひとりごと

しがない早大生が日常の発見を綴っています。趣味の読書、弾き語り、麻雀、語学にちなんだことが多いかもしれません。

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